Moon Light Long Distance 略してMLLD。
つまり、月夜に長距離走をやるってこと。

今年の春から、「月一ウルトラ」(毎月一回はフルマラソンより長い距離を走るということ)を標榜して走ってきたのだが、夏の早い宮古島、6月頃から、あまりの暑さに厳しくなってきた。
そこで、太陽のない夜中ならやれるはずだ、ということで始めたのがこのMLLD。
だが、夏の宮古は夜中でも気温28度、湿度60%以上が普通。
コンビニで休憩を取りながら、倒れないように走ると、60km走るのに8時間以上かかる。
そういう意味では、徹夜ランと言ってもいい。

そんなアホなことをやるんだから、道連れがいたらなお楽しいじゃないか、ということで、呼びかけてみたところ・・・

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今回はなんと、僕の他に3人もアホ仲間が集まった。
ここは宮古島の名所、何年も連続で「日本一美しいビーチ」に選ばれている、前浜ビーチの一角。
が、真夜中なので別に関係ないw

アホレンジャーピンクは、E戸選手。
長年宮古島トライアスロンに連続出場し、ほぼ毎回完走している超ベテランアスリート。
長年??何年だったかは数字が大きすぎて覚えられないw

グリーンはM国選手。
このブログにも何度か登場した、僕のライバル。
が、普段はいつもニコニコしていて、闘争心を表に出さない。
どうやらピンクに拉致されて参加することになったらしい。

ブルーはN田同志。
僕と一緒に100kmマラソンを二度完走、先日トレイルラン(42.195km)にもデビュー、もちろん完走。
再来年の沖縄一周マラソン(約260km)を目指す同志・・・まぁつまり、変なヒトだ。

深夜に長距離を走るなんていうと、よっぽどストイックなトレーニングに見えるかも知れないが、実際はけっこーゆるゆる。
集合も途中下車も自由。
今回の場合、僕が自宅からスタート◆ブルーが約5km地点から合流◆ピンクとグリーンが約15km地点から合流◆ピンクとグリーンが約20km(彼らの距離で)走って離脱◆ブルーが合流地点(僕より5kmくらい手前)で離脱・・・といった流れだった。

MLLDと銘打ったのは、月がキレイだからというわけではなく、僕やブルーの住んでいるエリアが暗すぎて、月夜でなければ危険が伴うから。
半月以上の月が、夕方から日没にかけて上ってくる日取りは、けっこー限られる。
前回は早々に月が沈んでしまい、後半はDDLD(Deep Dark Long Distance)だったw
今回は日取りを厳選した甲斐もあり、まったくもって美しい月夜!
元々のコースは市街地を二周するものだったが、ピンクの提案で、来間大橋を渡ることに。
月明かりに輝く宮古の海を橋の上から眺めるのはまた格別♪
実にナイスなコース変更だった。

が、橋を渡り終えたあたりで、ピンクが・・・
「じゃ、私たち、そろそろ帰路につくから!」
ええーー!まだ始まったばっかだよ!?
と思ったが、あとで書き込みなど見ると、ずいぶん眠かったらしい。
お疲れ様です。
僕なんかは10代の頃から不眠気味で、徹マンでも経済的理由以外でギブしたことないからなぁ。
夜こそオレタイム??www

さてさて、僕のコンディションはといえば、、10段階評価で3くらい。
引越以来、睡眠もトレーニングも削っての16時間労働。
前日の激辛ラーメンチャレンジ(10分以内に激辛特盛り、スープまで完食したら賞金5000円)←自業自得
当日の臨時PTA会議に絡んで、食事のタイミングエラーと、仮眠不足。
案の定、走り出しから、胃腸の不快感。
20kmも走らないうちに、下半身に鈍い疲労感。
怖くて体重計乗ってないけど、絶対体重増えてるだろーな・・・
まぁいいさ、不調なら不調なりに、最低限の目標はクリアできるだけの経験は積んできたし。
なんとかなるだろ。

で、ピンクとグリーンが離脱したあたりから、内臓の不快感はほぼ消えて、足の疲労感のみが残った。
が、すでに30kmくらい走ってるわけだから、少々足が痛いのは当たり前と思えば当たり前。
そんな中、ブルーが想定外の発言を・・・

「ねぇ、マックシェーク食べたいんだけど。」

な、、、なにーーー!?
マックシェーク!!??
ソレだ!!
それこそ、今、僕のソウルが渇望していたマテリアルだ!!

マックまで数キロ、ついにたどり着いてみたが・・なんと、入り口にカギが!!
クソッ、24時間営業ってのはドライブスルーのことか??
仕方ねぇ、歩行ドライブスルーに挑戦してやるぜぇ・・・
そういえば、アメリカの某ウルトラランナーが同じ事をやって、「車のないお客様には販売できません」って言われたエピソードがあったな。
いや、ここは日本だ!しかも宮古だ!なんとかなる!

ドライブスルーの車両感知センサーに手を当てて、恐る恐る反応を待つ。
「ピーガガガ、、お客様申し訳ありません・・ピピーーガガ・・ですので・・ガガガ・・・」
(くっ!!何言ってるかわからねぇが、つまりダメってことか??)
が、すぐに店員が僕らの方に走ってきた。
「お客様、すみませんが、あちらの入り口に回ってください!」
・・・どうやら、もうひとつの入り口が開いていたらしいw

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やっとありつけたぜ、マックシェークぅ♪♪
勢い余ってフィレオフィッシュもw

が、店内は閑散としていて、チョイワル系の若者たち数名がダベっているのみ。
滝汗のヒゲボウズ系中年二人連れは、どう見ても浮いている。
ブルーは「店を汚すのも悪いし・・」と言って、立ったままシェークを飲み干して、早々に退店した。
僕はかなり足にきてたのもあって、ガッツリ腰を下ろして、シェークとフィレオフィッシュをがっついた。
足下には汗の池。
店員のまなざしが痛い・・・
心の中で、スミマセン、スミマセン、ちゃんと掃除して出ますから!
と唱えつつ・・・あぁ、でも旨いなぁwww
あ、もちろん、イスと床は拭いて出ましたよ、紙ナプキンは少々使ったけどw

さて、この先はコース調整のために少々遠回り。
元のコースを来間大橋方面に変更したことで、少々目標距離より短くなったため、少し距離を稼ぎにいったのだ。
が、、このあたりで好きこのんで遠回りをするのは、メンタル的にけっこー苦しい。
それでも、目標距離を大幅に縮小するのはイヤ。
元々無口なブルーだが、ちょっと怒ってないか心配になったww

そしてたどり着いた次の休憩は「パイナガマビーチ」前のココストア。
もう、ちょっと、ホント、足痛いんですけど。
痛いときには・・・

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痛み止めww
普段はカロリーゼロのビールもどきしか飲まないけど、こういうときはオリオンのドラフト生♪
え??
運動中のアルコール摂取は脱水を促進して、身体に悪影響が・・・?
I know I know…
そもそもスタートから身体に悪いことやってるんだから、ちょっとおかわりするくらい大目に見て・・・w

このココストアからのコースは、地理的に最短コースを通ってうちに帰ることになる。
ということで、ある種の諦めと安堵感が生まれる。
ここからは、遠回りもないし、近道もない。
ただひたすらうちに向かって走るだけだな・・・って。
同一線上に住んでるブルーも同じ。

あーもう走りたくないんですけど。
とかブツブツ言いながらも重い腰を上げるが、気持ちに反して足は動く。
ずいぶん頑丈な身体になったもんだw

ブルーとは多くを語らないが、数m程度の距離をおいて、一緒に走る。
市街地の大通りも、午前1時を過ぎると車も通らないので、遠慮無く車道を走ることができる。
「次のコンビニ、どうする??」
「・・・止まろ」
みたいな会話。
ファミマで買った、一見美味しそうなアイスクリーム(と見せかけて、かき氷を袋詰めにしたモノ)は不味かった。
悔しいので店に戻ってもう一つアイスを買った。
ファミマのほんの2.5km先にはココストアがある。
が、どうしてもこのファミマで一息つきたかった。

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そしてそのココストア。
二度目にして最期のドーピング。
ついに靴を脱ぐw

ここは僕らの帰路「城辺線」の最後のコンビニ。
この先自宅までの12.5km、コンビニは一つも無い。
ここから先がMLLDの真骨頂だ。
終盤には悟りを開く一歩手前までいけるww

ブルーがにやりとして「あと7.5kmかぁ」と言う。
くっっ!!
そのマイナス5kmが羨ましい!!

城辺線は長くて暗い。
市街地とは違い、景色も変化しない。
延々と続くサトウキビ畑と、いくつかの目印になる建物。
信号も数えるほどしかない。
旅行者だったら距離感を失うかも知れない。
概算で約3km先の信号機が彼方に見える。
あそこまで・・・ノンストップか・・・
そう思うと・・・いや思うな、無心に、無心に走るのだ。

小さな商店(もちろん閉店)の自販機前で小休止。
ここが城辺線の中間点。
あー。長い、、長い。

そしてついに、ブルーがゴールした。
「はあぁーーー、ゴーーール♪♪
お疲れ様、気をつけてね!ホント、気をつけて!」

うん、お疲れ様。
あと5km、がんばりますw
こんな企画に付き合ってくれてありがとう^^

いつの間にか月は沈んだ。
眼前には漆黒の闇と静寂。
往路では怖いほど羽ばたいていたコウモリも、もう寝てしまったのだろうか。
別に、いまさら速く走ろうとは思っていなかった。
ただ、闇に目をこらしていただけだ。
それなのに、やけにペースが上がる。
時計を見ると、ここ10kmよりも、1kmラップで1分以上速くなっている。
まるで自分の身体が「大丈夫、このくらいが適正ペースだ」と言っているようだ。
足も痛いし、心臓も苦しい。
が、耐えられないレベルではない。
キタ・・・今回もキタぞ。
超長距離でしか体験できない、悟りタイムだ。
もしかしたら、これを再現するために、毎月こんなことをやってるのかもしれない。
闇の中で、自分の輪郭が曖昧になり、苦痛と快感の境界もよくわからなくなる。
ランナーズハイのもう一段階先だろうか??
身も心も限界の100kmマラソン終盤で、なぜかラストスパートができるときと似ている。

とにかくそのまま、自宅の玄関灯まで走った。
汗のしたたるポーチを玄関において、そのまま水風呂につかった。
股間周辺の各所が痛い。
ずいぶんスレたらしいw
距離は58km強、総タイムは9時間弱(朝5時前に帰宅)。
まったく、アホなことをやっている。
でも、、、またやるんだろうな。
「あの瞬間」を再現したくて。

第三回、日程は未定だが、8月中に開催したい。
参加者募集中w