ども。sassyです。
昨日は良書紹介ネタを書いたが、想像の2.5倍くらい好評をいただいて、ちょっと気を良くしているw 案外読んでるひといるんだねぇ。

今日はちょっとした練習哲学について・・・というと小難しいことのようだが、どんな競技にも共通で、独学でそれを極めようとしている人は普通にやっていることのようにも思う。

題して「極端な追い込み練習による、技術の向上について」。
いわゆる「技術練習」というのは、肉体がフレッシュな状態、疲労の溜まっていない状態で行うのが一般的だと思う。技術を学び、反復し、身につけるには、体力と集中力が必要で、疲労はそれを妨げるからだ。筋トレのあとに技術練習をするとかは、あまり聞いたことがない。筋トレはいつでもできるから、やるなら練習の最後だ。だがしかし、これは、「正しい技術」を指導してくれるコーチなりプログラムなりがある場合に限るのではないだろうか。独学であれば、第一の問題は「何が正しい技術練習であるか」である。

僕の場合、本やwebの助けは借りるにしても、文字情報から肉体的技術に落とし込む作業は、すべて独学で10年近くやってきたことになる。まぁ多くの市民ランナーは同じだと思うが。その中で学んだことは、「正しい技術練習と思っていたことの多くが無意味であり、時には有害である」ということ。文字情報の解釈に誤解があり、肉体に落とし込むまでに、さらに手違いがあるのだ。

そんな中、8割方正しい技術へ導いてくれる手順というのを発見したのだが、それは「本能に従うこと」だ。通常僕たちは大脳の思考でパンク寸前なので、本能の声に耳を貸す機会は少ない。だが、ランニングのような原始的なスポーツにおいて、正しい動きというものは、本能の中にあるのだ。どう走れば効率的で、疲れず速く走れるか。人間のDNAが知っているはずなのである。マラソン大会でよく見かける、「自分に負けるな!」「最大の敵は自分だ」というような応援(?)のキャッチコピーは、ナンセンスそのものだ。なにしろ、大脳で本能をねじ伏せようというのだから。本能は最大の味方だ。痛み、苦痛、倦怠感などは、自動車の警告灯と同じだと思えば良い。ガソリンの警告灯がついたらどうする?ガソリンスタンドに寄るだろう。警告灯を叩き壊すのは阿呆のすることだ。経験豊富なドライバーは、警告灯を憎んだり敵視したりはしない。

僕が60km走を愛してやまない理由のひとつがここにある。前半では、僕も「今日はキロ何分で走るぞ」とか「膝下のリラックスが一番大事だ」とか考えながら走っているのだが、40km以上走るうちに、疲れてだんだんどうでもよくなってくる。干からびるほど汗をかいているが、胃が疲れて、補給意欲が下がってくる。だが、あと20km走らなければ、おうちに帰れないw そんな中、無心に走っているうちに、身体が「ラクで速い走り方」を勝手に見つけ出すのだ。それがまるまる、生の経験として、その後も残る。こんなことが毎回起きるなら、好きになって当然じゃないか。

では、文字情報に寄る研究は無意味かと言うと否である。文字情報と本能の探求は補完しあっている。文字情報の予備知識が大脳にあったからこそ、本能が探り出したモノを「もしかしてコレがアレか!?」と認識できるからだ。そうでなければ多分、「今日は後半、なんとなくラクに走れた」で終わってしまい、再現性が怪しくなると思う。

僕はランニングを始めるより前、短い間だがゴルフレッスンに通っていたことがある。その先生のレッスンは半分が座学だった。30~40分間、練習場の会議室のホワイトボードを使って、丁寧なイラストをその場で書きながら、その日の練習メニューの概要、理論、目的を説明する。「バンカーに落ちてしまったときはSWを使うが、深く埋まってしまったらPWを使うのがよい」「なぜなら、このイラストのように、ヘッドの角度の違いがこのように作用するからであり・・・」「その場合のスイングの違いはこのようになり・・・」「さて、それではクラブを持って実践してみましょうか」といった具合だった。彼は、レッスンの半分を座学に費やす自身のやり方について、度々言っていた。「ゴルフは右脳だけでも左脳だけでもダメです。座学によって左脳で学んだことを、直後に実践して右脳に覚え込ませることが重要です」(といったようなことだったと思う)。

理性は頻繁に、本能の働きを妨害する。だから疲労困憊して、理性が弱ってきたときに、思いがけない発見(天啓)があったりする。だが、その発見を記憶し、再現可能性をもたせるのはやはり理性だと思う。その発見を、早く再現してみたいと思ってうずうずする。ああ。来週の60kmがまた楽しみだ。(ホントはもっとやりたいが、1日がかりであることと、身体への負担を考慮すると週一くらいが限界w)

「ひとりで延々走っていて、退屈じゃないか」とよく聞かれるがとんでもない。うまく走れているときは、楽しくてニヤニヤしてしまう。うまく走れないときは、どうして今日はうまく走れないのか、必死で探るので、退屈しているヒマはない(ついでにしんどいしw)。蛇足だが、これからの時期、うちの近くにある天然温泉の足湯が練習後に極楽♪

ストイックだから長距離走るのではないし、マゾだからでもない。あ、マゾなのは否定しないがw 楽しいよ、ホント。やってみればわかる。
ではまた。