ども。sassyです。この10日ほど気管支炎に悩まされていたけれど、ようやく治ってきたようだ。さかのぼって調べてみると、この数年、4月と10月に必ず気管支炎になっている。シーズン開幕直前と、トライアスロン直前だ。なんて面倒な持病・・・

 さて、今回は久しぶりに、オヤジの研究メモ。「息切れ」について。思い切り走ると、息が切れる。ぜぇぜぇいって、ほんとに苦しい。マラソンが敬遠される、最大の理由じゃないかと思う(ホントはぜぇぜぇやらなくても、サブ4くらいまではいけるんだけど、それはまた別の話として)。では、何故、走ると息切れするの?という質問に、明確に答えられる人はどのくらいいるだろう。走ると息切れする。経験則的に当たり前過ぎて、あまり考えたことがないのではないだろうか。ちなみに、今回のお話は、ある程度鍛えられたカラダ、心臓を持っている人についてなので、運動不足や持病でぜぇぜぇするのは別の話とする。

 まずは脊髄反射的に「酸欠になるから」という答えが返ってくると思うので、そこから。
酸欠で息切れがするという事例を細かく考えてみると、
1)激しい運動によって、筋肉が大量の酸素を消費する
2)血液中の酸素が不足する
3)より多くの酸素を取り込み、循環させるために、心拍数が上がる
4)それでも十分な酸素を供給できなくなり、呼吸量が増大して苦しくなる
といったところか。

 だが、この理屈だと、「一流のマラソン選手は相当な高速で走っても息切れしない」という事実を説明できない。もしも酸欠理論を真だとすると、一流選手が息切れしない理由は、「大量の酸素を消費しながらも、それを上回る酸素供給でカバーしているから」となるはずだ。(あるいは、一流選手は高速でも酸素消費を抑えることができる、特殊な体質か、ランニング技術を持っている、とも言えるが、それはまたの機会に)

 組織への酸素供給に関わっているのは主に、肺、心臓、血液。理屈として、これらにの器官に、常人の何倍もの性能をもたせることができるだろうか。おそらく、否だ。肺の容積はトレーニングで増えるというものではない。心臓はトレーニングで鍛えられるが、わりと早い段階で頭打ちになる。最大心拍数はどうがんばっても200前後だろうし、心臓(心室)の容積もいくらか大きくなるとはいえ、何倍にもなったりしない。なったら多分死ぬ。心臓の拍出能力の目安として、安静時心拍があるが、僕の場合でだいたい44くらい。トップアスリートの中でも特に低い人で、30前後らしい。スポーツしてない中年男性は65~75といったところらしい。そこまで極端な数字とは思えない上、最大心拍数と心室容積の上限を考えると、心臓のスペック自体、それほど上限は高くないように思う。血液はといえば、僕が調べたデータでは、日本人マラソンランナーと、世界トップレベルのアフリカ系ランナーで、組成にほとんど違いはなかったとのこと。以上から、一流選手が息切れしないのは、酸素供給能力が高いからである、というのは間違いだと思われる。

 ここまでは、前々から脳内実験をしてモヤモヤしていたことの裏付けを取っただけなのだが、最近、興味深い記事をみつけた。「筋肉でのエネルギー供給が過剰になると、血中に遊離Hイオンが増大し、血液の酸性化(アシドーシス)を起こす」というもの。そして、アシドーシスは息切れを起こす、とも。どうやらこっちが本命のように思う。筋肉が働いてHイオンが放出されるメカニズムは、生物学オタクでないと難解だし、僕自身、へぇなるほど、以上に理解できていないので割愛。で、このHイオンが血液を酸性化しようとする現象を中和しようとする働き(そこでは「緩衝力」と表現されていた)が、一流選手では有意に高いそうだ(このpHの緩衝という現象も、生化学大学レベルなので割愛)。できれば、この緩衝力の上限は心臓の物理的上限よりもずっと高い、という文献を見つけたかったが、さすがに専門的すぎるか、見つけても僕では解釈不能だったと思う。だが少なくとも、酸欠理論で指摘した矛盾点は、この理論では適用されないはずだ。

 ちなみに、同文献では、この緩衝力を上げるためのトレーニングについても書かれていた。要約すると(僕の解釈も含まれてしまうが)、緩衝力を使い切るくらいに強度と時間を切って走り、回復を待って、それを繰り返すとよい、とのこと。つまり、インターバルトレーニングである。アシドーシス自体は、息切れを起こすだけでなく、身体にダメージを与える(ときには致命的な)ため、アシドーシスの状態、つまり、極端な息切れ状態で、長時間トレーニングを続けるというのはよくないということらしい。インターバルトレーニングは、もちろん僕も取り組んできたが、「緩衝力の底上げ」という視点で取り組むと、やり方がいろいろ変わってくる。苦しい状態で長く走るのはNGということになり、休憩時間(ジョグorウォーク)での回復プロセスが重要になる。一本あたりの距離と強度は、緩衝力を使い切るあたり、つまり、本格的な息切れが始まってから短時間で終わるのがよさそうだ。今までは、とにかく速く、長く、苦しさに精神的耐性ができるように走っていたが、それはとても効率が悪く、必要以上に身体を痛めつけるやり方ということになる。

 うむ。軽い覚書のつもりが長くなってしまった。あと、無責任で恐縮ではあるが、裏付けや引用文献が欲しい方はGoogle先生に相談してね。あくまで個人的な練習ノートの一部なので、真似するのは自己責任でご自由に☆